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法人が株式を譲渡した場合、譲渡益の計算の基礎になる「時価」はどう計算するのか。

 法人が株式(非上場)を時価より低い価額で譲渡すると有価証券譲渡益に対して法人税が課税される。この場合の「時価」はどう計算すればよいのか。


下記留保条件のもとに、財産評価基本通達(取引相場のない株式の評価)により算定する。

① 株式を譲渡した法人が「中心的な同族株主」に該当するときは、「小会社」として算定する。

② 発行会社が土地または上場有価証券を有するときは、事業年度終了時の時価により純資産価額を算定する。

③ 純資産価額の算定に当たり、評価差額に対する法人税等(37%)は控除しない。

              

1.法人が時価より低い価額で株式を譲渡した場合

 法人が時価より低い価額で株式(非上場、以下同じ)を譲渡した場合は、時価と取得価額との差額(有価証券譲渡益)に対して法人税が課税される。

 この場合の「時価」については法人税基本通達9-1-13に抽象的な算定方法が示されているが、実務的には、財産評価基本通達178から189-7(取引相場のない株式の評価)によって算定する(法基通9-1-14参照))。

 但し、「時価」の算定に当たっては、下記の留保条件が付されており、通常の相続税評価額の算定方法とは異なる部分があるから注意を要する。

 

留保条件①

 株式を譲渡した法人が、株式の発行法人にとって「中心的な同族株主」に該当するときは、その発行会社の事業規模にかかわらず、常に小会社に該当するものとして算定する。

 即ち、純資産価額方式と、類似業種比準方式との折衷方式(L割合=50%)とのいずれか低い価額を採る方法によることになる。

<中心的な同族株主>

 中心的な同族株主とは、簡単に言えば、議決権割合が25%以上となる株主グループに属する同族株主をいう。

 

<参考>  取引相場のない株式の評価方法の概要

株主の区分 評価方法

取得後の議決権割合5%以上

 

大会社

 

 

 

中会社

 

 

 

小会社

 

 

 

類似業種比準方式

 

 

 

類似業種比準方式と

純資産価額方式との折衷方式

 

 

純資産価額方式

(L割合を0.5とする

折衷方式の選択可)

 

取得後の議決権割合が5%未満 中心的な同族株主がいない場合
中心的な同族株主がいる場合 中心的な同族株主
役員
その他

 

配当還元方式

 

同族株主以外の株主

議決権割合の合計が 15%以上の株主グループに属する株主

 

取得後の議決権割合5%以上 原則的評価方法 (同族株主の場合と同じ)
取得後の議決権割合5%未満 中心的な株主がいない場合
中心的な株主がいる場合 役員
その他 特例的評価方法 配当還元方式
議決権割合が15%未満のグループに属する株主 

留保条件②

 発行会社が土地または上場有価証券を有するときは、純資産価額の計算に当り、事業年度末日の時価によることとされている。上場有価証券の時価は客観的に明らかであるが、土地については路線価による評価額を0.8で割り返すなどの簡易な方法により時価を算定することがある。

 

留保条件③

 純資産価額の算定に当っては、評価差額に対する法人税等相当額(38%)の控除は行わない。

 

3.配当還元方式の適用等について

 上記の留保条件にないものについては、財産評価基本通達にもとづいて通常の方法で算定すればよいから、条件を満たせば特例的評価方法(配当還元方式)によることもでき、また、議決権割合が50%以下の株主グループに属する場合の20%評価減の規定を適用することもできる。

 

4.上記の算定方法によらない場合

 法人が株式を譲渡するといってもその内容は様々であり、第三者間で経済的な諸条件をもとに決定された価額により譲渡が行われるような場合にまで、上記の算定方法を画一的に当てはめることは妥当ではない。

 したがって、上記の取り扱いは原則的なものであり、これと異なる方法によった場合であってもその算定方法に合理性があれば税務上認められるものと思われる。

 

上記の記述は、2016年5月1日現在の法令・通達等に基づいています。その後の税制改正や個別事情により、異なる課税関係が生じる場合がありますのでご注意ください。

2016.5.1改定 2015.10.31