個人で空調器具の販売を始めたい。青色申告をすると税務上有利だと聞いたが、そもそも青色申告とは何なのか。また、青色申告を行う場合の注意点について教えて欲しい。
青色申告とは、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする者について、所得金額の計算などで有利な取扱いをする制度である。
青色申告の承認申請は期限厳守であり、1日でも申請が遅れると有利な扱いが受けられない。
1.青色申告とは何か
我が国の所得税は、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告納税制度を採って
いる。
1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには収入金額 や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳
し、また、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要がある。
ところで、このような一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする者について、所得金額の計算などに
ついて有利な取扱いをするのが青色申告の制度である。
青色申告をすることができる者は、 不動産所得、事業所得、山林所得がある者に限られる。
2.青色申告の特典
青色申告をすることによる特典には次のようなものがある。
(1)青色申告特別控除
不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の
原則、一般的には複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告
書に添付して確定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除するこ
とが認められる。
また、それ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高10万円を控除する
ことが認められている。
(2)青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上でその青色申告者の事業に
専ら従事している者に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内であれば必要経費と
して認められる。
尚、青色事業専従者として給与の支払を受ける者は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれないから注意を要す
る。
(3)貸倒引当金
事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者は、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れに
よる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定として必要
経費とすることができる。
(4)純損失の繰越しと繰戻し
青色申告者は、事業所得などが損失(赤字)になり純損失が生じたときには、その損失額を繰り越して翌年以後
3年間にわたって、各年分の所得金額から差し引くことができる。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、損失額を繰り戻して前年の所得金額から差し
引き、前年分の所得税の還付を受けることもできる。
但し、これらの規定の適用を受けるためには、損失が生じた年分の確定申告書を確定申告期限内に提出しなけ
ればならない。
3.手続きと期限
青色申告をしようとする場合は、「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出しなければならい。提
出期限はつぎのとおりであり、期限厳守である。
(1)原則 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
(2)その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合
その事業開始等の日から2月以内
(3)納税者が死亡した場合
その事業を承継した者が、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれ
次の期間内に提出しなければならない。
・その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合・・・死亡の日から4か月以内
・その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日まで
・その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合・・・その年の翌年の2月15日
まで
尚、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となる。
上記の記述は、2012年5月1日現在の法令・通達等に基づいています。その後の税制改正や個別事情等により、異なる課税関係が生じる場合がありますのでご注意ください。
2012.5.1