1.決算書を預ってもらえなければ、融資を受けられる可能性は0に近い
銀行から融資を受けるときは、融資担当者から必ず決算書の提出を求められます。銀行は決算書の内容を見て、融資をするかしないかの判断をするからです。
融資担当者が決算書を見てなんとか融資ができそうだと判断すると、融資について銀行の内部で稟議(りんぎ)にかけます。ところが、決算書を見ただけで融資の土俵に乗らないと判断した場合は、決算書を預ることさえしないことがあります。なまじっか決算書を預ってお客様に期待を持たせてしまうと、融資ができなかったときにお客様から大変なリアクションを受けることがあるからです。
逆に言えば、融資担当者が決算書を預った場合は、融資について脈があると見てよいでしょう。
2.融資担当者は決算書のどこを見るのか
融資担当者が決算書を見るときのポイントは次の5つです。
● 売上高
売上高は、決算書のなかで一番ごまかしがきかない数字です。利益は社長の給与を上げ下げしたり減価償却費を加減したりすればある程度調整できますが、売上高はこのような調整がやりにくいからです。融資担当者は、決算書の売上高を見てその会社の事業規模に応じた融資額を判断します。
● 税引後利益
まず、赤字か黒字かが別れ道になります。借入金は利益から返済されるものですから、会社が少しでも黒字を出していることが、銀行が融資をするかどうかを判断するためにとても重要な要素になります。
● 借入金
事業規模からみて、どのくらいの借入金があるかも重要です。売上の規模から見て不相応な額の借入金があると、新たな融資にとってはマイナスのポイントになります。借入金残高が月商の4倍を超えるくらいあると、銀行はかなり危険な水準にあると判断します。
● 固定資産
決算書に土地や建物が載っているかどうかもよく見られます。特に土地には融資をする際に抵当権を設定することがありますから、担保価値として重要なポイントになります。
● 資本の部
決算書の資本の部がマイナスになっていることがあります。これは「債務超過」と言って、会社が抱えている負債の額が会社の財産の額を超えてしまっている状態を言います。
この状態は極めて危険で、赤字を埋めるためにさらに借入をするという悪循環に陥っていることが考えられます。
3.上手に融資を受けるために
会社の経営をしているとどうしても売上に目が行きがちです。でも、売上が上がっていても、それだけでは融資を受けられる条件を満たしているとは言えません。
売上アップを図ることは重要ですが、同時にコストの配分や計画的な借入金の返済などにも気を配って、会社の財務内容を改善する必要があります。
きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、融資をうまく受けるためには、決算書を正しく作成することが第一の条件です。決算書に不良債権が残っていたり在庫が過大に計上されていたりすると、一時的に銀行を欺くことはできても、経営者ご自身が会社の財務内容がわからなくなってしまいます。これではとても会社の財務改善などできません。まず、正しい決算書を作って会社の財務内容を正しく掴むことが、会社の財務内容を改善して比較的楽に融資を受けるための条件と申し上げてよいでしょう。
2013.12.17