1.少額の備品などを購入すると節税効果が得られます
会社が取得する備品類は、原則として固定資産として会社の資産に計上ます。資産に計上した上で、その資産の耐用年数に応じて減価償却をしていくことになります。
ところが、1個当たり10万円未満の少額の固定資産については、このように資産に計上して減価償却をするといった面倒な経理をしないで、そのまま損金として処理することができることになっています。
したがって、キャビネットや書棚などを購入すれば、これらが1個当たり10万円未満であれば全部損金として処理できるわけですから、確かにお友達が仰るように一定の設税効果が生ずると言えるでしょう。
法人税等の会社にかかる税金(消費税を除きます)の税率を40%としますと、1個当たり10万円未満の備品類を合計で100万円購入すれば、40万円の法人税等が節税できます。
2.でも、トータルで見ると会社のお金が減ってしまうことも
でも、ちょっと考えてみてください。確かにここで40万円の節税ができましたが、会社のお金は備品類を購入するために既に100万円使われているわけですから、トータルで見ると節税をすることによって60万円(100万円-40万円)のお金が会社から流出したことになります。
仮に節税をしなければ、40万円の税金を納付するだけで済んだはずです。
3.会社の節税は、結局税金の支払いを先に延ばすだけ
会社の節税はお金を使わなければできません。キャビネットや書棚を買うためにはまずお金が必要です。
お金を使わないでできる節税はまずないと考えて良いでしょう。「保険を活用した節税」についても同じです。
さらに、会社の節税と言っても、殆どが税金の支払を「先に延ばす」だけだということにも注意しなければなりません。根本的な税金の「減免」にはならないのです。
期末に消耗品をたくさん買い込んで節税を図れば、その事業年度は確かに節税にはなります。ところが来期はどうでしょうか。当期にたくさん買い込んだ以上、しばらくは消耗品を購入する必要はないでしょう。結局来期の税金は高くなってしまいます。
ご質問のキャビネットや書棚を買うことについても同じです。要するに、長期で考えれてみれば得にも損にもならないということです。むしろご質問のように備品類の購入が「当面必要ない」のであれば、節税は会社の大切な資金を無駄に社外に流出させるだけで終わってしまうでしょう。
どうしても備品等を購入して節税をしたい場合は、次の点に注意しましょう。
来期以後の売上に貢献することが確実な備品類や消耗品を当期に購入する(無駄なものは買わない) |
保険を使う場合は、保険自体が本当に必要必なのか十分吟味する(必要のない保険に節税目的で入るのは会社の資金を失うだけ) |
商品などの棚卸資産を購入しても、期末に在庫として残っていれば節税にはならない |
商品券などの金券を購入しても、期末に在庫として残っていればも節税にはならない。 |
節税は大事ですが、節税のしくみをよく理解して無駄な資金を使わないことが大切です。節税に目を奪われてもっと大切なものを失わないように十分注意したいものです。
2014.8.18