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配当の源泉所得税を損金経理しないことによって利益を出し、しかも源泉所特税の還付を受けたい。どうすればよいか。

 子会社から10,000千円の配当を得て、2,042千円の所得税を源泉徴収された。この源泉所得税を損金経理すると損益計算書上当期利益金額が減少するので、損金経理しないで資産計上したい。しかも、源泉所得税の還付は受けたい。

 この場合、会計処理と法人税申告書の記載はどのようにすればよいのか。


 資産計上した源泉所得税の額を法人税申告書別表四で減算し、別表一で同額の税額控除を受ける。

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1.源泉所得税の通常の経理方法

 配当や利息にかかる源泉所得税は、少額な場合は租税公課などの費目で損金経理し、法人税申告書別表四で同額を加算した上で、別表一で税額控除が行われる。

 しかし、配当の額によっては源泉所得税が多額になり、これを損金経理すると損益計算書の当期利益金額が減少し、対金融機関において好ましくない場合がある。

 

2.源泉所得税を資産計上する

 このような場合は、源泉所得税を損金経理せず、未収還付税金などとして資産計上する。

 <会計処理>

  未収還付税金  2,042,000    受取配当金  10,000,000

  現金預金       7,958,000円

 

3.別表四で同額を減算する

 しかし、このままでは資産計上された金額に法人税等が課税されるから、同額を法人税申告書別表四で減算する。この段階で、法人税等の課税対象となる所得は、源泉所得税を損金経理した場合と同じになる。

 <税務調整>

  法人税申告書別表四    2,042,000円(減算・留保)

 

4.別表四で同額を加算し、別表一で税額控除する

 次に、源泉所得税を損金経理する通常の場合と同様に、同額を別表四で加算し、別表一で税額控除する。尚、別表六(一)の記載も必要になる。

 

当期の会計処理と法人税申告書の記載例

(前 提)

利益金額(源泉所得税を損金経理しないで計算した利益金額)    20,000,000円

受取配当金                              10,000,000円

源泉所得税                            -2,042,000円

(会計処理)

未収還付税金     2,042,000     受取配当金  10,000,000

現金預金       7,958,000円

(税務調整)

法人税申告書別表四    未収税金認定損          2,042,000円(減算・留保)

法人税申告書別表四 29 法人税額から控除される所得税額   2,042,000円(加算・流出)

法人税申告書別表一 13    控除税額              2,042,000円 

法人税別表六(一) ③                    2,042,000円

所得の金額の計算に関する明細書                                 別表四

区   分

総  額 処     分
留  保 社外流出
当期利益又は当期損失の額 1 20,000,000 20,000,000 配 当  
その他  

 

損金経理をした法人税及び地方法人税 2     - -
損金経理をした道府県民税及び市町村民税 3     - -
損金経理をした納税充当金 4     - -
小  計 11        

 

減価償却超過額の当期認容額 12     - -
納税充当金から支出した事業税等の金額 13     - -
受取配当等の益金不算入額 14 10,000,000   10,000,000
未収還付税金認定損   2,042,000 2,042,000    
小  計 21 12,042,000 2,042,000

外※

 

10,000,000

 

 仮     計 22 7,958,000 17,958,000

外※

 

△10,000,000

 

法人税から控除される所得税額 29 2,042,000 - その他 2,042,000
所得金額又は欠損金額 48 10,000,000 17,958,000

外※

 

△10,000,000

2,042,000

利益積立金及び資本金等の額の計算に関する明細書                       別表五(一)

Ⅰ利益積立金の計算に関する明細書
区    分 期首現在利益積立金 当期の増減

差引翌期首現在

利益積立金額

 ④
利益積立金 1        
  2        
未収還付税金       △2,042,000 △2,042,000
繰越欠損金(損は△) 26        

納税充当金

27        

未納法人税及び

未納地方法人税

28 中間△
確定△

未納道府県民税

29 中間△
確定△

未納市町村民税

30 中間△
確定△

差引合計額

31        

翌期の会計処理と法人税申告書の記載例

(会計処理)

現金預金      2,042,000円    /   未収還付税金   2,042,000円

(税務調整)

法人税申告書別表四      2,042,000円(加算・留保)

法人税申告書別表四 19      2,042,000円(減算・流出)

所得の金額の計算に関する明細書                                 別表四

区   分

総  額 処     分
留  保 社外流出
当期利益又は当期損失の額 1     配 当  
その他  

 

損金経理をした法人税 2     - -
損金経理をした住民税 3     - -
損金経理をした納税充当金 4     - -
前期未収税金加算   2,042,000 2,042,000    
小  計 11 2,042,000 2,042,000    

 

原価償却超過額の当期認容額 12     - -
納税充当金から支出した税等 13     - -
所得税等及び欠損金の繰り戻しによる還付金額等 19 2,042,000 - 2,042,000
小  計 21 2,042,000  

外※

 

2,042,000

 

 仮     計 22   2,042,000

外※

 

2,042,000

 

法人税から控除される所得税額 29   - その他  
所得金額又は欠損金額 48   2,042,000

外※

 

△2,042,000

 

利益積立金及び資本金等の額の計算に関する明細書                       別表五(一)

Ⅰ利益積立金の計算に関する明細書
区   分      期首現在利益積立金 当期の増減

差引翌期首現在

利益積立金額

 ④
利益積立金 1        
  2        
未収還付税金     2,042,000   2,042,000    
繰越欠損金(損は△) 26        

納税充当金

27        

未納法人税及び

未納地方法人税

28 中間△
確定△

未納道府県民税

29 中間△
確定△

未納市町村民税

30 中間△
確定△

差引合計額

31        

 上記の記述は、2022年4月22日現在の法令・通達等に基づいています。その後の税制改正や個別事情等により、異なる課税関係が生じる場合がありますのでご注意ください。