平成25年度の税制改正では、新たに商業・サービス業を中心とした中小企業限定の優遇制度が創設されます。この制度は、中小企業者等が、税理士などのうち認定経営革新等支援機関として経済産業省が認定した機関から経営の改善に関するアドバイスを受けて設備を取得すると、その設備について30%の特別償却か、7%の税額控除を受けることができるというものです。
1.制度の内要
中小企業金融円滑化法が今年の3月で期限切れになった後も中小企業の経営改善がいっこうに進まない中で、政府は「期限切れ後」の出口対策を打ち出す必要に迫られています。さらに平成26年4月からの消費税率の引き上げに伴い、中小企業の経営環境はいっそう厳しさを増すことが予想されます。
このような背景のもとで、平成25年度の税改正では、商業・サービス業・農林水産業を対象として、新たな優遇制度が創設されました。
新しい制度の適用を受けるためには、中小企業者等が、税理士などのうち認定経営革新等支援機関として経済産業省が認定した機関からアドバイスを受けることが条件とされています。
アドバイスを受けた上で一定の器具備品や建物附属設備を取得すると、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除を受けることができます(税額控除額は事業年度の法人税額の20%が上限です。上限を超えてしまったため控除できなかった部分は、1年間繰り越して翌期の法人税から控除できます)。
適用を受けられる中小企業者等の条件や、税金の申告をする際に必要な書類については次の表のとおりです。
中小企業者の範囲 |
青色申告をしている中小企業者等(法人・個人)で、次の条件を満たす者です。 ① 個人の場合は、従業員が1000人以下。 ② 法人の場合は、資本金1億円以下 (但し、資本金が1億円以下でも大規模 の法人に支配されている法人には適用されません)。 * 7%の税額控除が受けられるのは、資本金の額が3000万円以下の中小企業者等に 限られますからご注意ください。 ③ 中小企業等共同組合、商工組合、商店街振興組合、農業・漁業共同組合等 |
適用を受けられる期間 | 平成25年4月1日~平成27年3月31日の間に適用対象となる設備を取得 して指定された事業の用に供すること。 |
適用対象となる設備 |
建物附属設備 → 1件の取得価額が60万円以上のもの 器具備品 → 1件の取得価額が30万円以上のもの |
適用が受けられる事業 | 卸売業、小売業、情報通信業、不動産業、物品賃貸業、飲食店業、サービス業など、商業・サービス業を中心に幅広い事業に適用されます(一定の風俗営業等には適用されません)。 |
このように、この制度は多くの中小企業にとって幅広く活用できる内容になっています。取得価額30万円以上の器具備品ということになりますと、少し考えただけでもコピー機、ショーケースなど相当多くのものが適用対象になってきます。また適用を受けるための手続きも、現在のところ中小企業庁が公表したマニュアルを見る限り極めて簡単なものになっています。
2.適用を受けるための手続き
この制度の適用を受けるためには、申告書に、取得した設備の償却限度額の計算に関する明細書(これは通常は会計事務所が作成します)の添付が必要です。
また、この制度は、 税理士など認定経営革新等支援機関からアドバイスを受けることが条件とされていますから、上記の明細書のほかに、申告書にアドバイスを受けたことを証明する書類の写しを添付しなければなりません。
この書類はA4の用紙1枚程度のもので足り、面倒な説明や附属書類の添付は必要ありません。また、国が指定する様式によらなくても、必要な事項が記載されていれば自由に作成することができます。
国が作成した記入例によって作成しても良いのですが、必要最低限の事項を記載した書類のサンプルを下に示しておきましたので、ご活用ください。
2013.5.8