「税務調査の当日、取締役である社長の妻が会社にいないから役員報酬が過大である」と指摘された。反論は。

 妻を取締役にしている。妻は創業時からの会社経営上のパートナーであり、明らかに会社の経営に参加している。したがって、月額100万円の役員給与は相当だと考えている。ただ、妻は日常的に会社に来ているわけではない。他の従業員に与える影響も考慮して、むしろ会社には来ないようにしている。調査官は「税務調査の当日会社にいない」という理由で、妻の役員給与を過大だと判断したが、何と反論すれば良いのか?


取締役は日常的に会社に来る必要はない。会社に来ていないという理由で役員給与が過大であるとするのは根拠がない。

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役員給与が過大であるというが、それではいくらを超えた場合に過大なのかというと、

 ① その役員の職務の内容や、同規模の同業種の会社と比較して適当とされる金額

 ② 定款や株主総会の決議等で定められた役員給与の限度額

 上記①と②のいずれかの金額を超える部分の金額が過大役員給与として、損金の額に算入されないことになる

(法法34②・法令70一)。

 

 上記のうち②の基準は、定款や株主総会議事録等の記載から客観的に明らかであるから、役員給与が株主総会議事録等に記載された限度額を超えて支給されていると、税務調査で過大部分の損金性を否認された場合抗弁できない。

 実務的には、前営業年度の議事録に記載された限度額をそのまま修正しないで当期の議事録にコピーしてしまうミスが見うけられる。このようなミスをするくらいなら、議事録に役員給与の限度額など記載しない方がまだ良い。

 

 さて、問題は上記の①である。

 役員給与に限らず人件費一般に言える事は、税務調査ではまず第一にその人件費が架空であるか否かが問題になる。従業員の場合は、会社にいなければその給与は架空であるから損金性を認めないというのも頷けるが、取締役となると問題は別である。

 取締役は必ずしも会社にいなければ経営ができないということはない。会社にいなくても常に会社の経営に腐心しているのが取締役というものである。したがって、取締役が実質的に会社の経営にたずさわっているのであれば、会社にいるかいないかは問題にならない。

 もっとも、調査官の主張にも多少同情の余地がある。本当は会社の経営にたずさわってもいない社長の妻を、名目的に取締役に就任させ、取締役であれば会社にいなくても役員給与を払えるからといって、過分の役員給与を支給する例が多いからである。

 質問の場合は、取締役である妻は実質的に会社の経営に参加しているのであるから、税務調査の当日会社にいなくても、その役員給与の額が上記の①の金額を超えていない限り、その金額を損金の額に算入してもなんら問題はない。では①金額がいくらかということになると、同じような地位や職種にある他の取締役の役員給与の額等と比べて判断することになるが、実際の税務調査では具体的な金額を認定することは難しい。

 

 但し、その取締役が他に職業を持っていたり老齢であった場合などは、非常勤の取締役として、役員給与が過大であると指摘される可能性が高い。

上記の記述は、2012年1月23日現在の法令・通達等に基づいています。その後の税制改正や個別事情等により、異なる課税関係が生じる場合がありますのでご注意ください。

2012.1.23