夏季または冬季の役員賞与のうちいずれかを支給しなかった場合、支給した賞与だけ損金算入できるか。

 当社は3月決算の法人だが、6月25日の株主総会で役員Aに対して7月25日に200万円、12月25日に300万円の役員賞与を支給する決議をし、税務署にその旨を記載した「事前確定届出給与に関する届出書」を提出した。

 その後、7月25日の賞与は決議どおり支給したが、12月25日に支給すべき賞与は資金繰り悪化のため支給できないこととなった。この場合、届け出た賞与のうち一部を支給しなかったことになるが、この場合でも7月25日に支給した賞与は損金の額に算入できるか。


損金の額に算入できない。7月25に支給した賞与200万円は損金不算入となる。

        


 事前確定届出給与として損金の額に算入される給与は、支給時期や支給金額が株主総会等で事前に決議され、実際にその決議に基づき支給された給与に限られる。

 質問のように、複数回の支給がある場合でも例外ではない。役員給与は、通常定時株主総会から次の定時株主総会までの職務執行の対価であるから、決議どおり支給されたか否かは個々の支給時期ごとに判断するのではなく、職務執行

期間を一つの単位として判断すべきである。したがって、12月25日にAに給与を支給しなかった場合は、7月25日に支給した200万円の給与は損金不算入となる。いずれかの給与を減額して支給した場合も同様であり、支給した給与全額が損金不算入となる。

 しかし、給与を支給できなかったことが震災の影響による資金繰り悪化に起因することが客観的に明らかであるなど、定時株主総会の決議時点では到底予測できなかった事実に基づく場合は、既に支給した役員給与を損金の額に算入することについて議論の余地があるものと思われる。

 また、役員給与を未払いとした場合であるが、未払いであっても株主総会で決議された以上債務確定しているのであるから、給与としての実態を伴っている限り未払給与は通常の給与として扱って問題ない。

上記の記述は、2011年10月18日現在の法令・通達等に基づいています。その後の税制改正や個別事情等により、異なる課税関係が生じる場合がありますのでご注意ください。

2011.10.18

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