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「日当」は損金算入できるか。給与として源泉徴収が必要か。日当の適正額は。消費税法上どう扱われるか。

 当社は、役員又は従業員の出張に際して日当を支給している。下記の項目について教えて欲しい。

     ① 日当は通常の経費として損金算入が認められるのか。

     ② 日当は給与の一部として源泉徴収が必要か。

     ③ 日当の金額はどのくらいが適正か。

     ④ 日当は消費税法上どう扱われるのか。


     ① 日当は通常の経費として損金算入が認められるのか。   → 損金算入が認められる。

     ② 日当は給与の一部として源泉徴収が必要か。       → 源泉徴収の必要はない。

     ③ 日当の金額はどのくらいが適正か。           → 通常必要と認められる金額。

     ④ 日当は消費税法上どう扱われるのか。          → 消費税法上、仕入税額控除ができる。

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 役員又は使用人が、その業務を遂行するために勤務場所を離れて出張する場合、出張先で交通費、宿泊費、飲食費など様々な支出が行われる。これらの支出について厳密に実費精算を行うことは実務上困難であるため、役員又は使用人

に対して、これらの支出に充てるものとして一定額の「日当」を支給することがある。

 

 日当は業務を行うために必要な経費であるから、法人税法上損金の額に算入される。また、日当は「実費弁償」として支給されるものである以上、住宅手当や残業手当などとは異なり、所得税法上非課税とされている(所法第9条①四)。したがって、日当については源泉徴収の必要はない。

 

 ただし、その支給の起因となった個々の出張との関係が曖昧なものや、出張に通常要する金額を著しく超える部分の金額は非課税とされず、所得税の課税対象になる。

 

 日当の金額としてどのくらいが妥当であるかは個別事情により判断することになるが、所得税基本通達では次の事項を勘案して判断することを求めている(所基通9-3)。

 

(1) その支給額が、その支給する使用者(会社)等の役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2)  その支給額が,その支給する使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

 しかし、上記の基準は具体的な金額を定めたものではなく、実際上は常識に基づいて判断せざるを得ない。一般的には国内出張の場合、宿泊費など実費精算が可能な支出を除き、1日当たり数千円から1万円までが常識的な金額ではないかと思われる。

 また、現実に即して役員と使用人とで異なる金額を支給したり、日数や距離(都県内出張か、都県外出張かなど)によって差額を設けたりすることも認められる。

 いずれにしても、旅費規程など社内規定を作成し、日当は規定に基づいて継続的に支給する必要がある。一旦定めた旅費規定を根拠なく変更することは、作為性を疑われることになるため好ましくない。

 

 日当は、消費税法の上では課税仕入として仕入税額控除の対象になる。日当の金額のうち通常必要であると認められる部分の金額は、業務上の必要に基づく支出の実費弁償であり、事業者が直接支出することと経済的効果は同じであることから、課税仕入とされているのである。

 ここにいう「通常必要であると認められる部分の金額」の範囲は、上記の所得税基本通達(所基通9-3)と同じである。

 ただし、海外出張のために支給される日当は、海外での取引が消費税の課税対象外であるため、課税仕入には該当しない(消基通11-2-1(注))。ただし、出国までに国内で要する旅費等に対応する日当については課税仕入とされる。

上記の記述は、2012年7月27日現在の法令・通達等に基づいています。その後の税制改正や個別事情等により、異なる課税関係が生じる場合がありますのでご注意ください。

2012.7.27

認定経営革新支援等機関

永井・山川税理士・会計事務所

税理士  永井   格

税理士  山川  健次


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