個人で事業を行っていた人が、会社を設立して法人として事業を行うことを「法人成り」と言います。法人成りすると、取引先の信用が得やすいとか、個人事業であれば事業主一人に帰属していた所得が、給与という形で社長や従業員(社長の親族を含みます)に分散するため、節税効果が現れるなどのメリットがあります。
反面、法人成りして会社を設立すると、株式会社の場合は最低でも20万円(定款の認証料5万円+登録免許税15万円)の設立費用ががかかりますし、設立してからも事務コストがかさむなどのデメリットもあります。
法人成りについては、メリットとデメリットを十分考えてから会社を設立する必要があります。
法人成りの注意点については、減価償却資産や棚卸資産を、個人から法人へ引き継ぐ際どのような形で引き継ぐかがポイントになります。
資産の引継ぎは、個人の資産を法人に売却することによって行われるのが一般的です。事業としての実態は変わらなくても、個人と法人とは別のものと考えるからです。
次に、個人から法人に資産を売却する際いくらで売却するかが問題になります。基本的な考え方は「時価」で売却するということになりますが、具体的には次のようになります。
<減価償却資産の場合>
時価を求める事は実際上難しいので、実務的にはその減価償却資産について適正な減価償却が行われていれば、法人成りした時点での帳簿価額をもって時価とすることになります。
<棚卸資産の場合>
法人成りした時点での通常の販売価額が時価になりますが、税法上、通常の販売価額そのものでなくても、通常の販売価額の70%以上の価額で売却すれば問題はありません。
2011.11.15