会社法では、株式会社は例外を除き株券を発行しないことが原則とされています。旧商法では、株券を発行することが原則で、例外的に株券不発行が認められていましたから、会社法と旧商法とでは、原則と例外が逆転した形になっています。
会社法で株券不発行を原則としているのは、株券の紛失等のリスクを回避したり、株券の発行や流通に要するコストを削減するという、合理的な理由によるものです。
株券不発行の場合、株券の引渡しをしないで、当事者間の意思表示だけで株式の譲渡をすることができますから、株主名簿を書換えることが、会社や第三者に対する対抗要件になってきます。したがって、株式不発行制度の下では、株主名簿の重要性は極めて大きなものになっています。
ところで、株主が、株券不発行会社に対して株主としての地位を証明してもらうにはどうすればよいのでしょうか。
会社法では、株主は、株券不発行会社に対して、株主名簿に記載してある事項を証明した「株主名簿記載事項証明書」の交付を請求することができることになっています。この証明書の交付を受けることで、株券不発行会社の株主は、自分が株主であることを、会社に書面で証明してもらうことができるのです。
株主からこの証明書の交付を請求されたときは、会社は代表取締役が署名押印等した、次のような「株主名簿記載事項証明書」を、株主に対して交付しなければなりません。
株主名簿記載事項証明書
〇〇〇〇 殿
貴殿が所有する当会社普通株式〇〇〇株について、貴殿の申し出により株主名簿記載事項証明書を交付します。
氏名又は名称 | 〇〇〇〇 |
住所又は所在地 | 東京都〇〇区〇〇町〇〇番〇〇号 |
株式保有数 | 〇〇〇〇株(平成〇〇年〇月〇日 現在) |
株式の種類 | 普通株式 |
株式取得年月日 | 平成〇〇年〇月〇日 |
上記は、当会社の株主名簿に記載されている事項であることを証明する。
平成〇〇年〇月〇日
東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
〇〇〇〇株式会社
代表取締役〇〇〇〇
株券不発行
2012.3.19