登録国外事業者であるグーグルからサービスを受けた場合の課税関係は?

 

Q39

  当社は、グーグルアドワーズを利用したネット広告や、電子書籍の購入を行っています。グーグル(Google Asia PacificPt. Ltd.)は、

 シンガポールにある国外法人で、「登録国外事業者」として日本の消費税が課税されています。

  この場合、当社の消費税の課税関係をわかりやすく説明してください。

 

 

1.海外からサービスを受ける場合の消費税は理解が難しい

 平成27年に、海外からネット広告のサービスを受けたり電子書籍を購入したりする場合の消費税のしくみが大きく改正されました。改正の内容はかなり分かり難いものとなっていますが、特に登録国外事業者からこれらのサービスの提供を受けた場合の課税の仕組みを理解するのが難しいようです。

 この仕組みを理解するためには、国外から提供を受けるサービスを次の3.のように切り分けして考えることが有効です。

 ここでは海外のサービス提供者を、代表格のグーグル アジアパシフィック プライベート リミテッド(以下、「グーグル」といいます)を例にとって見ていきましょう。

 

2.グーグルは登録国外事業者です

 グーグルは、「登録国外事業者」として登録国外事業者名簿の17番目に登録されています。この名簿に登録されている事業者は、日本の消費者や事業者にインターネットを利用したサービスなどを行う国外の事業者で、国税庁長官に申請して登録を受けた事業者です。これらの国外事業者は、登録国外事業者として登録している以上、日本に消費税を納税することになります。

 

3.国外からサービス等を受ける場合の課税関係

 まず、グーグルから受けるサービスを、大きく次の①と②に切り分けてみます。登録国外事業者が問題になるのは、の場合です。

 

 ① 事業者向け電気通信利用役務の提供

   (サービスの提供先が事業者に限定されるもの。グーグルアドワーズのネット広告サービスなど)

 

 ② 上記①以外の電気通信利用役務の提供

   (事業者ばかりでなく消費者も利用できるもの。電子書籍や音楽の配信サービスなど)

  さらに、②を次の2つに区分して考えます。

   イ サービスを事業者が受ける場合

   ロ サービスを消費者が受ける場合

① 事業者向けに行われる電気通信利用役務の提供

<サービスの提供先が事業者に限定されるもの>

国内事業者

リバースチャージ方式

で課税される

リバースチャージ方式により、国内事業者が課税されます。

グーグルは登録国外事業者ですが消費税は課税されず、逆に国内事業者が消費税の納税義務を負います。

グーグル

(国外事業者)

課税なし(不課税)

 


② 上記①以外の電気通信利用役務の提供

<事業者ばかりでなく消費者も利用できるもの>

* 登録国外事業者が問題になります

国内事業者

 

仕入れ税額控除ができる

 

 サービスを事業者が受ける場合

グーグルは登録国外事業者として日本に消費税を納税していますので、サービスを受ける側の国内事業者は仕入れ税額控除ができます。

グーグル

(国外事業者)

 課税される

(登録国外事業者として)

 



日本の消費者

事業者ではないから

消費税の納税義務はない 

 サービスを消費者が受ける場合

グーグルが登録国外事業者として日本に納税した消費税は、消費者に転嫁されて日本の消費者が負担することになります。

グーグル

(国外事業者)

 課税される

(登録国外事業者として) 


* 国税庁のパンフレットなどでは、表の、②イ・ロをまとめて、便宜的に「消費者向け電気通信利用役務の提供」

と表現しています。

4.電気通信利用役務の例示

では、電気通信利用役務とは、具体的にどのようなサービスをいうのでしょうか。「事業者向け」と「それ以外」とに分けて例示してみましょう。

① 事業者向け電気通信利用役務の例示
 ・ ネット広告の配信サービス

 ・ ネット上でソフトウエアやゲームアプリなどを販売するためのWEBサイトを利用させるサービス

 ・ ネットを介して宿泊予約や飲食店予約サイトの掲載等を行うサービス

 ・ クラウドサービスのうち、サービスを受ける者が事業者であることを確認して、個別に条件を定め

  て締結する契約に基づいて行われるサービス

② 上記①以外の電気通信利用役務の例示

 ・ 電子書籍、電子新聞、音楽、映像などの配信

 ・ クラウドサービスのうち、サービスの提供者が提示する一律の条件に相手方が同意して行われるサービス

5.わかりやすく言うと・・・

① 事業者向け電気通信利用役務の提供

 サービスの提供先が事業者に限定されているもので、ネット広告などのサービスがこれに該当します。

 これらのサービスについては、改正前はグーグル(国外事業者)に消費税が課税されていましたが、改正により、反対側(REVERSE)、つまり国内事業者に課税(CHARGE)されることになりました。

 リバースチャージ方式の詳細はこちらをご覧ください。

 

② 上記①以外の電気通信利用役務の提供 

 事業者ばかりでなく消費者も提供を受けることができるサービスで、グーグルから電子書籍や音楽の配信などのサービスを受ける場合がこれに該当します。

 この場合は、①と異なり、原則的には消費税はグーグル(国外事業者)に課税されます。国外事業者に消費税が課税されている以上、理論的にはサービスを受ける側の国内事業者は消費税の仕入税額控除ができることになります。

 しかし、実際上国外事業者に課税することは困難な場合が多いため、国内事業者に無条件で仕入税額控除を認めてしまうと、納税がないのに税額控除だけが行われることになります。これでは国の税収が減ってしまいます。したがって、国外事業者から電子書籍や音楽の配信などをのサービスを受ける国内事業者は、仕入税額控除が認められていません(理論的には矛盾していますが)。

 そこで、現れるのが登録国外事業者制度です。

 

イ 事業者がサービスを受ける場合は

 登録国外事業者は、自ら進んで「日本の国税庁に登録して、日本に消費税を納税します」と宣言している国外事業者ですから、登録国外事業者であるグーグルからサービスを受ける国内事業者は、堂々と仕入税額控除ができるのです。

 

ロ 消費者がサービスを受ける場合は

 消費者は事業者ではありませんから、登録国外事業者からサービスを受けても消費税を他にを転嫁することはできません。結局、消費者が消費税が付加されたサービスを購入して消費税を負担する事になります。

 

6.実務上の対応の仕方

① (事業者向けに行われる電気通信利用役務の提供)の場合

 この場合は、国内事業者にリバースチャージ方式により消費税が課税されます。国内事業者は、自分が受けているサービスがリバースチャージ方式による課税の対象になることを、グーグルからメールで送られる情報によって確認することができます。グーグルからは、次のようなメールが送られてきます。

② (上記①以外の電気通信利用役務の提供)の場合

 この場合は、登録国外事業者は、日本の消費者や事業者にサービスを提供するときは一定の事項を記載した請求書等を発行することが義務づけられています。この請求書等には次の事項が記載されていますので、サービスの提供を受けた国内事業者は、これらの記載事項を確認した上で仕入税額控除を行うことになります。

●  登録国外事業者の「登録番号」

●  当該消費者(事業者を含みます)向け電気通信利用役務の提供を行った国外事業者が納税義務者である旨。

  また、仕入税額控除をしようとする国内事業者は、通常の課税仕入れに係る記載要件に加えて、帳簿に登録国外事業者の「登録番号」を記載する必要があります。